コーヒーのある暮らしが、日常になるまで。
カフェで、自宅で、コンビニで……今やいつでも気軽に楽しめるコーヒー。
しかし半世紀前は、気軽に飲むことができない高級品だった。
そんな時代から“食卓にコーヒーを”の合い言葉の下、
Kalitaとともに家庭にコーヒーを広めた企業が京都にあるという。

家庭にコーヒーを届け続けて60余年。

今から遡ること60年以上前……第二次世界大戦終結間もない1950年、京都にとある総合商社が誕生した。キョーワズ珈琲株式会社の前身である、共和食品株式会社だ。「最近は“キョーワズ珈琲がなかったら、本格コーヒーを家で飲む習慣がなかったかもしれない”と、お褒めの言葉をいただく機会も多くなりましたね」。そう語るのは、同企業の生産部部長兼原料買付である岡田誠さん。

 

「日本にコーヒーが伝わったのは今から200年以上前。明治初期には東京を中心に“カフェ”がオープンし、コーヒーが飲めるお店が誕生していました。しかし、昭和初期には戦争の影響でコーヒーの輸入が制限されてしまったんです。そして、私たちの前身である会社が創業した同年12月にようやくコーヒー輸入が再開され、私たちもコーヒーの卸業をはじめたんです」と、岡田さん。

 

「当時のコーヒーは、今と比べものにならないほど高級品。一時期は闇市で取引されていたように、コーヒーは誰もが簡単に飲めるものではありませんでした。そんな中、先代はもっと多くの方にコーヒーの魅力を伝えたいと思って、ある一大決心したんです。それが、大人気だった百貨店に、コーヒーを販売するお店を構えることでした」。

 

キョーワズ珈琲株式会社の岡田誠さん。この道30年のベテランだ。

日本の食卓にコーヒーが並んだ日。

百貨店でコーヒーを量り売りする。

「創業してまもなく大丸京都店に出店。その後、1953年に大丸百貨店九州1号店としてオープンした博多大丸(現・大丸福岡天神店)にも店舗を構えました」と、百貨店出店の歴史を語る岡田さん。「当時はやっとのことで手に入った生豆を、アメリカから取り寄せた焙煎機で焙煎加工して、店頭で量り売りする状況でした。“百貨店でコーヒーの量り売りをする”。このスタイルの先駆けだったといっても過言ではないでしょうね」。

 

そんな中、日本は喫茶店ブームに沸いた1960年代を迎える。「その時には百貨店での実績を重ね、徐々に販路を拡大。九州にあった20店舗以上の百貨店への出店にも成功しました。日本のコーヒー消費量が次第に増えてきたわけですが、一方でその市場のほとんどは業務用向け。家庭で愛飲するにはまだまだ馴染みがない飲み物でした」。

 

京都北山店の店内。創業当時から店頭で豆を量り売りするスタイルを貫いている。

豆のキョーワーズ珈琲。器具のKalita。

実は当時、家庭で本格的なコーヒーを楽しむには、この他にも大きな問題があった。「家庭で使えるコーヒー器具がなかったんですよね。だから、コーヒーが根付かなかった。そんな時、私たちはKalitaさんと出会ったんです。お互いの目標はただひとつ、“食卓にコーヒーを普及させること”。意気投合してすぐにKalitaさんとの取引がはじまり、キョーワズ珈琲の店頭ではコーヒー豆と一緒に器具を販売するようになりました。これが大きなターニングポイントでしたね」。

 

キョーワズ珈琲は豆、Kalitaは器具。このパートナーシップが、家庭で本格的なコーヒーを楽しめる仕組みをつくった。これが“おうちコーヒー”時代の幕開けといっても過言ではないだろう。

 

京都北山店では、京ブランド認定のオリジナルブレンドも販売中。

店頭では、全てハンドドリップで淹れたコーヒーも味わえる。

あなたにとってのスペシャルを届ける。

波佐見との出会い、Kalitaへの共感。

「今のコーヒー業界は“スペシャルティコーヒー”に注目が集まっていますよね。でもこの流れって、私たちが創業当時からやってきた“いい豆を届ける”という姿勢と一緒なんです。そんな中でKalitaさんも、さらなる“いい器具を届ける”ためにステップアップしていますよね」と、岡田さん。

 

「創業50周年の記念品として、波佐見焼のコーヒーストッカーをつくりました。それがとても好評だったんです。そして最近、Kalitaさんが波佐見焼のシリーズを発売したことを知り、ちょっとした運命を感じたんです」。この偶然にシンパシーを感じた岡田さんは早速、このシリーズを導入したと話す。

 

「京都北山店でのハンドドリップ実演時に、HASAMI & Kalitaのドリッパーを使用するようになりました。しっかり蒸らすこともできるし、きれいに落とせる分、抽出時間も短縮したんです。なのに、コクは深くなっていて。これには関心しました。ジャパンブランドとしての原点回帰でありながら、新たな決意を感じたシリーズですね」。

 

創業50周年記念品のオリジナルコーヒーストッカーとKalitaのドリッパー。
製造方法が異なると、同じ波佐見焼でありながらもさまざまな表情が楽しめる。

キョーワズ珈琲が大切にしている輪。

「キョーワズ珈琲のロゴは3つの豆をイメージしています」と、ロゴマークについて語る岡田さん。「赤い豆は生産者。そして我々ロースターという2つ目の豆を通じて、最後の豆であるお客様へお届けする。全てが地続きであり、いい関係を築けていないと、この輪は簡単に崩れてしまうんです。その関係づくりを約束する。そんな想いがこのマークに込められています」。

 

続けて、上質なコーヒー豆を提供し続けられる秘訣についても聞いてみた。「生産者のパートナーとして、支え合う関係を築けたことが大きな秘訣かもしれません。今でいう“サスティナブルコーヒー”と呼ばれるアクションですが、私たちは創業当時からこの姿勢で生産者と向かい合ってきました。何よりも大切なのは、買い続けること。それが農園の未来へとつながっていくんです」。

 

農園にとって、そしてお客様にとってのスペシャルなコーヒーをお届けする。この信念が、キョーワズ珈琲がいつの時代も信頼され、愛されてきた所以なのかもしれない。

 

店内に掲げられているキョーワズ珈琲のロゴ。 店頭では、こだわり抜いた世界各国のコーヒー豆が並んでいる。

私たちと、コーヒーの未来。

京都の北山に出店した理由。

京都北山店がオープンしたのは2011年のこと。でも、なぜ繁華街から少し離れたこの地に店舗を構えたのだろうか。
「私たちが学生だったころの北山は、京都随一のおしゃれスポットでした。“北山に行けば、いいものに出会える”と言われるほど、飲食店からアパレルショップ、著名な建築家が手がけた建築物まで、さまざまなお店や建物が並んでいたんです。今でこそ店舗数は減りましたが、東洋亭さんやマールブランシュさんなどの名店は、現在も北山に本店を構えています」と、北山の昔と今を岡田さんが語ってくれた。

 

「そんな一流が集う街で、私たちも一流のコーヒー豆をお届けしたいと思ったのがきっかけでした。“京都・北山”というブランディングをはじめて5年目を迎えますが、本当にたくさんのお客様にご来店いただき、感謝の気持ちでいっぱいです」。

 

目の前に広がる北山通りと、京都北山店の入り口。店舗のあるビルは建築家の安藤忠雄氏が手がけているそう。

ちょっといい時間が体験できるショップへ。

最後に、キョーワズ珈琲のこれからについて聞いてみた。「京都北山店では、キョーワズ珈琲の世界観を体験してもらうショップを目指しています。生産者の努力の賜物が、ひと粒のコーヒー豆に詰まっている。そんなコーヒーの背景にあるストーリーなどをたっぷりとお伝えしながら、コーヒー選びだけでなく、コーヒーの世界を楽しんでもらえるよう、これからもお客様と向き合っていきます」。

 

老舗コーヒーメーカーが教えてくれた、いいコーヒーといい世界。香ばしい香りが漂う店内で、コーヒーに向かう姿勢を変えてくれる“ちょっといい”体験を味わえば、コーヒーのことを“もっといい”と感じるようになるかもしれない。

 

「京都北山店はコミュニケーションスペース。器具の使い方、
美味しいコーヒーの淹れ方も店内で紹介していきたい」と語る岡田さん。

 

Products
KYOWA'S COFFE &Kalitaで見つけたKalita製品
HA 102 ドリッパー
Shop Information
KYOWA'S COFFE &Kalita
Kyowas shop 3k2a6140
営業時間
火-日 10:00-19:00
住所
〒603-8053
京都市北区上賀茂岩ヶ垣内町41
B-LOCK KITAYAMA 1F
定休日
月曜(祝日の場合はその翌日)
HP
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