その器に、伝統と技術あり。
洋食器のトップブランドとして国内外で高い評価を得てきた
名古屋の陶磁器メーカー、鳴海製陶“NARUMI”。
その歴史の中で培われた高度な技術に共感し、Kalitaとのコラボが実現。
清らかさとモダンさを備えた、新作ドリッパーが誕生した。

世界で愛される陶磁器メーカーと競演。

愛知県名古屋市鳴海町、この地に創業70年を迎えた洋食器の世界的な企業がある。その名も、鳴海製陶株式会社。“NARUMI”のブランド名で世界中から絶大な支持を集める、日本屈指の陶磁器メーカーだ。

 

そして今、長く愛用されるものづくりにこだわり続けるNARUMIと、その姿勢に共感したKalitaとが運命的な出逢いを果たし、コラボレーションが実現。従来の“101-ロト”“102-ロト”に“NARUMIイズム”を吹き込んだ、新作の陶磁器製ドリッパーが完成した。

 

NARUMIとKalita。日本のみならず、世界の食卓を彩ってきた両者が手を組み、誕生したプロダクトは、思わず手を伸ばしたくなるほど繊細で美しい。その美しさの裏側には、 NARUMIが世界的ブランドに成長するまでのヒストリーが秘められているという。

 

NARUMIのプロダクト。世界の一流ホテルやレストランでも採用されている。
NARUMIが愛される理由。

東海道の宿場として栄えた“鳴海町”。

「鳴海製陶が創業したのは1946年。江戸時代に東海道の宿場を中心に栄えてきた愛知県名古屋市 の“鳴海町”に本社を構えたことから、この社名が命名されました。創業当時は、陶磁器が日本の輸出産業として規模を拡大していく真っ只中。やがて“高度経済成長期”に突入し、日本の食文化が変わっていくにつれて、日本の食器産業全体が潤っていきました。」

 

こう話してくれたのは、今回のコラボレーションの発起人である鳴海製陶の佐久間茂さん。「このような時代背景の中で、私たちは生産した食器を海外に輸出したり、国内の百貨店などに卸して、業績を伸ばしていったんです。」しかし、好景気はそう長くは続かなかったという。

 

「輸出産業がピークを迎え、市場にも陰りが見えてきました。過当競争・過度の価格競争を避け、NARUMI独自の分野への進出を図るため挑んだのが最高級磁器“ボーンチャイナ”の量産化でした。」

 

鳴海製陶株式会社の本社社屋と、プロジェクト発起人である佐久間茂さん。

 

日本初“ボーンチャイナ”の量産化に成功。

ボーンチャイナが生まれたのは、18世紀のイギリス。一般的な磁器の原料に牛の骨を焼いて灰にした“骨灰”を加え焼成した最高級のテーブルウェアとして、世界の食卓を華麗に彩ってきた。しかし、その製造方法は難しく、量産化することがほぼ不可能だと言われていた。当然、ボーンチャイナの量産化に踏み切る日本の陶磁器メーカーは皆無だったという。

 

「原料成分を科学的に分析し、焼成温度を調整するなど、何百回も試行錯誤を繰り返しました。そしてようやく、量産可能なボーンチャイナが完成したのです。その独自の製造方法、原料の調合方法で特許を取得。日本で唯一ボーンチャイナを安定して提供できるメーカーとして、1965年にリスタートしました。」たゆまぬ努力と不屈の精神で、功績をあげたNARUMI。その評判は瞬く間に世界へと広がっていき、“NARUMI Bone China”としてブランドを確立していった。

 

NARUMIが生産に成功したボーンチャイナは、世界から高い評価を受けている。

 

上質な食器を通じて、上質で幸せな時間を届ける。

その歴史の中で育まれたNARUMIのDNAは、ボーンチャイナ以外のプロダクトにも脈々と受け継がれている。ひとつは複雑な形状、非対称な形状をつくりあげることができる製造技術力。もうひとつは、デザイン力。形状デザインのみならず、陶磁器に描く模様のデザインも誇るべきポイントだ。
 

これらすべての要素が調和し、生み出されたNARUMIのテーブルウェアは、五感への刺激を通して、食事や飲み物、さらにはその場の魅力を高めてくれる。上質な食器を通じて、上質で幸せな時間をお届けする。それこそが、NARUMIが世界中から支持され、愛され続ける理由なのだ。

 

本社のショールームにて。カップ&ソーサーの花模様も繊細なタッチで描かれている。

新作ドリッパーが誕生するまで。

いいものをつくる、確固たる決意。

佐久間さんと共に当プロジェクトを進めてきた鈴木明徳さんに、今回の新作ドリッパーに込めた想いをうかがった。「私自身、コーヒーが大好きなんです。ハンドドリップ歴は30年以上。学生時代からKalitaの陶磁器製ドリッパーを愛用していたので、この話が上がったときは素直に嬉しかったですね。絶対にいいものをつくろう。そう固く決意しました。」

 

デザインプランを提案する前には、現在発売されている陶磁器製ドリッパーの比較検討を行ったそう。「“101-ロト”と“HA101ドリッパー”では、仕上がりの色味も、抽出部分の形状も異なっていました。この両方のいいところを、新作ドリッパーに活かすことができればと思い、デザイナーと一緒に設計を進めていったんです。」

 

新作ドリッパーの石膏型。そして、完成品の仕上がりを眺める鈴木明徳さん。

 

NARUMIらしさを表現するために。

新作ドリッパーのデザインを担当した宮地晴菜さんは、ドリッパーにどうアクセントを付けるか苦心したと語る。「Kalitaのドリッパーは機能もデザインも、すでに完成の域に達していました。そこに、NARUMIのデザイナーとしてどのような付加価値を加えるか。このハードルを超えることが大きな課題でした。」

 

その後、鈴木さんと打ち合わせを重ねていくうちに、数々のアイデアが生まれていったという。「カップ内側のリブをカップ縁まで彫っていくことにしたんです。そうすれば、ドリッパーとフィルターが吸着することなく、狙い通りに淹れることができると考えました。」

 

デザイン変更を加えたのは、カップ内部だけではない。「ロゴのレリーフ(浮き彫り)部分はこだわりました。釉薬が垂れてロゴが見えにくくならないように、高さや大きさを調整。カップ上部に強度を持たせるために配したバンド状のデザインと相まって、ロゴの立体感が増し、よりクリアに視認できるようになったんです。」

 

カップ内側のリブ部分と、カップ外側に描かれたKalitaのロゴ。

 

美と機能を追求したデザイン。

実は、宮地さんも鈴木さんと同じく“コーヒー愛好家”。宮地さんは自宅で毎朝、その日の気分に合わせて豆を選び、抽出時間を調整し、ハンドドリップしているそうだ。そんな毎日の風景の中で発見したことも、新作ドリッパーには活かされていると話してくれた。

 

「金属製やプラスチック製と比べて、陶磁器製のドリッパーは重量があります。そのため、持ちやすさが非常に重要。このドリッパーは持ち手部分が“コの字型”になっています。上部に親指を沿えて持つことで、持ち上げたときの安定感が増すように設計にしました。」

 

また、生産ロスを削減するための工夫もなされているという。「ドリッパーと台座をつなぐ部位のカーブを緩やかにすることで、生産ロスを大幅に削減。これも、デザインと生産管理、それぞれのプロの知見が活かされている証拠ですね。」その努力がかたちとなり、名実ともに自信を持ってお届けできるプロダクトが完成した。

 

デザイナーの宮地晴菜さん。「どこから見ても美しい仕上がりになりました」と、笑顔で話す。

 
いいものと出逢う。いい時間がはじまる。

NARUMIのDNAを受け継ぐドリッパー。

今回の新作ドリッパーでは、カリタ式と呼ばれている“三つ穴”の精度を高めるために、カップ内側の底部分に突起を形成。これによりフィルターとの接地面が減少し、より安定した抽出ができるようになった。これも、長年陶磁器をつくり続けてきたNARUMIの知見と技術の賜物だ。さらに注目していただきたいのは、その“白さ”にある。清くそして美しいシルキーホワイトのドリッパーは、従来のラインナップとは一線を画している。

 

いいものとの出逢いは、上質で幸せな時間を生み出してくれる。それは、ひとつの食器やコーヒー器具でも同じこと。お気に入りの一品があるだけで、食卓は彩る。コーヒーの時間が待ち遠しくなる。 その些細な歓びを提供しているのがNARUMI、そしてKalitaの役割なのかもしれない。ちょっといい時間は、ちょっといいものと共に。新作ドリッパーでハンドドリップを心ゆくまで味わってほしい。

 

今秋発売予定。

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